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「母が重くてたまらない」信田さよ子 [書籍]




す、すげえ。2008年4月に初版が刊行されて、手元にある版は同年7月刊行で7刷。なんちゅー増刷ぶりですか。
短期間で増刷される場合というのは、返本ロスを怖れるが故の、初版部数設定の読み違えだったりするんだけど、ここまで重版されるというのは単なる読み違えなんていうレベルを超えた売れっぷり、なんだろうなー。

著者はカウンセラー、ってのがキモ。そのせいか、なんかこう、筆致がぬるい。
ぬるいっていうかな…。なんか、柔らかく誘導される感じというか。信田さよ子という著者の心情とか主観が微妙な具合に混ざってて、うーん、やっぱり、ぬるいんだな。
所謂、社会学とか心理分析的なアプローチの、クールで客観的な文体ではない。
たぶん、この本を手に取るだろう、切羽詰まった読者の感情に関わっていこうとする顕われ、なのかな。そりゃそうだ、追いつめられてる人にズバズバ言ってもしょーがないし。
カウンセリング戦略的アプローチなのかも。

この本で取り上げられている「母」は団塊世代の女性、「墓守娘」と名付けられた「嘆く娘」は団塊ジュニアの女性。’73年生まれシロタとその母、はピッタリ重なる世代(笑)なので、なんかビミョーにイタいとこもありつつ。
わたし自身は、母の支配?的な言動に切羽詰まったときもあったけど、今はどうということもなく、テキトーな距離感を保てている、と思う。
タイトルの「母が重くてたまらない」って感覚は、わかる。大学の頃とか、就職してすぐくらいのときは、結構しんどかった。頼むから、自分のことだけ心配して、わたしのことは放っといてくれ! て感じ。

その「重くてたまらない」母の言動の動機とか原因、みたいなものがほんのりとわかった気がして、うーむ、と唸ってみたりした。ほんのり、ってとこは、どーしようもないでしょ、ガッツリ理解できるって言っちゃったら嘘だし。

特になるほどー! と膝を打ったのが「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」っていうやつ。へー、RLIて略すのね。恋愛と結婚が結びついたのって、本当にごく最近のことなんだねえ。
愛を信じて結婚し、対等で民主的な夫婦関係を築いて、平等な家庭を夢みていたらば、時代はそこまで追いついていなかった、というガッカリ感。
この人はわたしを対等のパートナーとして考えてくれるわ♪と思って結婚したらば、「男は黙ってサッポロビール」な、前時代的頑固オヤジな夫に成り果て、たかだか朝のゴミ出し程度の家事に抵抗を示してみたり、「仕事してもいいけど、家のこともちゃんとやれよ」とかホザいてみたりした訳ですね。
これはイタいよな。ガッカリだよ。

いや、この本に出てくる夫、父親たちは極端な例が多いのか、意外とうちの父ちゃんって、がんばってるほうなんだー、と思って感心しちゃったよ(笑)。

それでも。
それでも、わたしの母親を含め、妻たち、母親たちが、夫に対してたくさんのことを諦めてきて。
大きな挫折と諦観にうちひしがれながら、犠牲をはらってきて。
その結果が、娘なのだとしたら、その娘に執着してしまうのは、わからんでもない。
しかしまあ、だからって、その執着は娘に重く、母のためにもなりませんよ、と著者は結論づける。

わたしが思ったことは。
幸せを諦めてはいかんのだ、ということ。
わたしが我慢すればまるくおさまるんだわ、とか自己犠牲的な考えはなかなか外聞がよろしくてウツクシイが、その“つけ”はなんらかの形で、しかもより複雑化した大きな問題として、必ず表れるのだ、と。

そーれにしても、この本に出てくる父ちゃんたちの存在感の稀薄なことといったら、もう、とんでもないです。
父親としてもこんなにウスいとしたら、夫としてどうなのかなんて、コワくて聞けない(汗)。
幽霊の方がまだ存在感があるってもんだぜ的空虚さです。コワっ。
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コメント 4

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エンジェル

いやー、ホント、「父」「夫」の影の薄さは尋常じゃないっすねぇ。
同い年の友人に結婚10周年なんて夫婦もボチボチ出てきてますが
すでに夫をパートナーではなく、我が子とみなしていたり。(爆)
「互いの収入が変わらず、なのに家事育児モロモロは己の肩に…という
状況にグチを言わない方法は、コレが一番なの」というのが理由でしたが
そこまでして一生を共にするメリットはなんぞや?と聞いたら
「人間は集団で生きていく本能があるから」と…わけわかめ。(笑)
しかもセックスレスでも全くOKといわれると、
独身もんには、もうふえるわかめちゃん状態ですがな。(笑)
で、彼女に言わせるとソレが「楽しい」らしい。
「私がいなくちゃダメなのね」状態に生きがいを感じるとか。
……ソレって昔の父親とか夫と同じなんじゃないか?(汗)
そんな母親に育てられたムスコの尊敬する人は「おかあさん」。
将来、彼がヨメさんを迎える時のことがコワイ…(爆)
by エンジェル (2008-08-26 16:58) 

シロタ

んー。
わたしが、母を見ていて思ったのは、ですね。
夫に対して要求や期待をするのに、疲れてしまったんだよな、と。

目の前に洗うべき皿があり、世話をやかねばならない子があり、とにかく圧倒的な生活というやつがある。夫にあれこれ言うとか労力を向けていられなかったんでしょうねえ。
生活、ってことにメリットデメリットなんて考えてられないじゃん(笑)。
すんません、そのお知り合いの方のことは同じくわかめです。滅多なこと言えねーっす(怖)。

ま、それでも今は、お父さんがゴミ出すくらいのことで珍しいことでもなくなったでしょ。そーいう風潮を受けて、マシになってきてると思いますですけど。
たまに実家に帰ると、父ちゃんが自分でお茶を入れていてびっくりしましたぜ。

ちなみにうちの場合、わたしがぐうたらなので、夫が我慢できなくなって掃除をしてくれちゃいます。

「さっさとやっちまえ」な行動的な方は、不本意にも「それ担当」な役割を請け負ってしまいがちかもしれないっすね。

by シロタ (2008-08-27 08:53) 

イモート

ひさしぶり。

や、でもこのタイトルの本を娘から薦められてもさあ…ちょっとヒいてたよ。ましてお姉ちゃんから母に対してではねぇ。何かアテツケみたい。え?「何か」じゃなかったりして?

by イモート (2008-08-29 16:34) 

シロタ

イモートよ、ひさしぶり。

いや、薦めるつもりはなかったんだけど、なんか話の流れで、「こんなん読んださー」って、話になっちゃってね(汗)。

でも、団塊世代ってひとまとめに呼ばれると、大抵「団塊オヤジ」つまり男性ばっかしに注目されることって多くない?
団塊世代の女性について書かれてる本としては、わたしは初めてお目にかかったような気がするよ。(上野千鶴子の著作とかでありそうだけど)
タイトルはアレなんだけど、この世代の“母たち”に寄り添って書かれてると思うよ。誰それが悪い!って糾弾する書籍ではないから。
これ読んで、母と、母世代のことが、ちょっとばかしわかった気になった。
アテツケとかじゃなくって、母ちゃんなるほどわかったよ、って感じなんだけど、ま、やっぱヒかれちゃいますかね(苦笑)。


by シロタ (2008-08-30 19:43) 

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