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「金魚のうろこ」田辺聖子&鴨居まさね [書籍]

正直言うと、田辺聖子は苦手なのでした。
関西弁のやわらかな響きと相まって、「そない肩肘はらんとエエやないの」的なしなやかさしたたかさに圧倒されるというか、柔らかく気圧される。
なんつーかな、「まあまあ」って宥められてる感じがするっていうか。
しかも、その「まあまあ」がひじょーに的確にツボを圧してて、「そう言われてみればそうかも」的にうまいこと納得させられる感じの負け感。勝ち負けで言ったら負けなんだけど、そもそも勝ち負けなんかどうでもええやん、ていう感じのしなやかさ。
それが非常に快く、同時に悔しい。

一方、鴨居まさねは好きな漫画家で、特に近年の「雲の上のキスケさん」「君の天井は僕の床」あたりの脂の抜け具合、イイ感じの枯れ方が大変好ましい。
絵柄がまた、余計な力が入ってないふわーっとした軽やかな抜けがあってイイ。気負ったところがない。でも、基本のデッサン力がしっかりしてて、押さえるべきところはしっかり押さえてある。
少女マンガ的なお花満開ロマンティック全開の盛り上がりに、非常に敏感に照れ恥じてみたりする感じの、その照れ恥じツボが、わかる!賛同!激しく同意!的にビタ好み。


といったところで、田辺聖子原作+鴨居まさね漫画、の塩梅はというと、すっごくいいんじゃないかと思う。足し算じゃなくってかけ算かもしれない。
小説が漫画化されるのって、あんまり成功した例を知らないし、それぞれの作家の世界が際立って成立しているほど難しくなりそうなんだけど、コレはいい。

どっからどーみても田辺聖子のお話なんだけど、鴨居まさねが捩じ伏せられてる訳ではなく鴨居なりのイマジネーションで世界をつくってて、これまたどっからどーみても、しっかりはっきり鴨居漫画なんだよね。
んで、お互いの個性が潰しあう事なく引き立てあってて、これ、漫画化によって損なった部分はいっさいないんじゃないかとさえ思える。この熟(こな)れ具合は凄いです。
田辺ファンも鴨居ファンも両方楽しめる。

もひとつ田辺の、明け透けな物言いとか身もフタもない逸話みたいなん(「ぴろぴろ」とか「せえへん仲間」とかの言い回しなど)も苦手だったりするんだけど、これもまた鴨居で中和されたりせず、むしろ増幅されてて、やっぱり苦手なまんま(笑)。
『達人大勝負』なんかお話自体が身もフタもない。ていうかよくこの話を漫画化原作に選んだものだのー。
明け透けで身もフタもないんだけど、ヘンな露悪ではなく下品でも卑しくもなく、軽やかにお話の必然として味わいを醸しているんだろうとは思う。
ていうか、そういう感じが苦手って言うのは、関西文化圏の壁を感じるのな。東西では人との距離の取り方が違う、って聞いた事あるけど、どっちかつーと東側なわたしにとっては近過ぎるのかもしんない。


シリーズ2段として「鏡をみてはいけません」があって、これも良。





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