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「ダーク・エイジ」那州雪絵 [書籍]

「カラフル」の主人公少年のしんどさ全開な鬱鬱っぷりを観たら、コレを思い出した。

‘93年(雑誌掲載時は’91年)に発行されたちーと古い漫画どす。「フラワー・デストロイヤー」ていう、前日譚にあたるお話を読んでからのほうが飲み込みはいいんだけども、ていうか、現在入手しやすい白泉社文庫版「フラワー・デストロイヤー」にはシリーズ全話所収されているのでそっちが手っ取り早い。
この方の著作としては「ここはグリーン・ウッド」が有名どころですかね。現在ももりもり活躍してらっさるようです。「魔法使いの娘 」まだ読んでない。読みたいなー。

主人公のフツーの高校生・高西智恵は、未来からやってきたデストロイヤーと呼ばれる花に接触して念動力が使えるようになる。
デストロイヤーは接触した人間に超能力を発現させる性質があるけれど、一方で精神的な異常や不安定に陥ることが多く、大変キケンなシロモノ。智恵は能力を発現したものの例外的に落ち着いた精神状態を保てている特異例。
で、そういうヤバい花と花関連のトラブル処理のために未来からやってきたタイムパトロールの所属下で手伝いをさせられる智恵たち高校生のあれやこれや、ていうお話。

ちょうどリアルタイムに読んでたせいもあって、この高校生たちの描写に異様に共感。うんうん、そうそう、そうだったそうだった。
毎日フツーに学校行って授業受けて、放課後だべってみたりバイトしてみたり、受験とか進路とかに煩わされてみたり。そうやってフツーな日常を過ごしながら、なんだかよくわからないけれど、不安というか恐れというか、それぞれがなんともいえないもの思いを抱える。未来とか社会とか、いずれそこに出て行かなくてはならない世界が待ち構えていることに対する、なんともいえないざわざわもやもや感。
真面目な優等生・鳥井さんの心象を除けば、そんなに深刻で重い描写じゃないんだけど、ふとしたときに疑問や躊躇いを感じたり、なんとなく常につきまとう感じがすっごいクる。
時折ちょっと説明的な部分もなきにしもあらず、なんだけど、そういうもやっとした感覚にすごく誠実に向き合ってる感じ。

デストロイヤーに関わるトラブルが起こって、その解決に奔走する中で、智恵は、鳥井さんの心象を通じて、将来に対する不安とか恐れとかそういうものに正面から向かい合う。
この鳥井さんの心象が、もう重い重い。真っ暗。悲しいことや恐ろしいことばかり、何もいいこと起こらなそう。でもねえ、その頃のニュースとかマスメディアの報道見てたら暗くしかなんないつーの。チェルノブイリ、湾岸戦争、油まみれの鳥。

実は、タイトルの「ダーク・エイジ」は、10代半ばあたりの難しいお年頃、所謂思春期のことを指す。
たぶん文庫版には所収されていないであろうコミックス版1/4スペースの作者コメント↓

「DARK AGE」というのは、「暗黒時代」という意味です。 わりと一般的には、子供の頃、とか、少年時代、青春時代とかいわれる時期には楽しいことばかりがあって希望に満ちていてみんなケガレなく元気で怖いものなどなく、大人になってからふとふりかえって「あぁ、あの頃は楽しかったなぁ…」などと思うものらしいのですが、私は全然そう思っていないので、このように呼んでみました。
だから今、ツラく苦しい少年期をすごしている皆さん、安心してください。大人になったら今よりずっと楽に生活することができます。私も昔、子供だった頃、あんまり毎日ツラいので、「世間では一番いい季節とされている今がこんなにツラいのだから、大人になったら毎日どんなに苦しいだろう」と悲嘆しておりましたが、いざ大人になってみたらゼンゼンそんなことはありませんでした。だから、あなたの一番おいしい時期は、この先に待っているのだから、もうちょっとガマンしてがんばってね。(p.155)

ていうか、なにこのバカ正直(笑)
こういうコメントに、この作家の誠実さが顕れていて、この人は信頼できる大人だ、と思ったものでした。

まあ、大人として付け加えるならば、世間は甘くない、とか、社会は厳しいのだ、とか、世界はコワいんだぞとやたらに言い募る大人は、自分のラクや得を守るために誰かに苦しんでいてもらいたい人です。で、そやって子どもを脅しつけて、だからそーいう世間でやってくためには俺の言うこと聞けよ、って支配したがる人だったりするんで、疑ってかかったほうがよいかもよ、と言っときます。
死ぬ気になればなんでもできる、頑張れ、というのも嘘です。死ぬ気になったら死ぬことしかできないつーの。

大人になって楽になるかどうかはともかく、10代半ば頃が相当苦しい時期であるのは確かなのでね。なんとか、騙し騙ししのぐのが吉じゃないすかね。

「ダーク・エイジ」を今の中高生が読んでピンとくるかどうか知らないけど、まあこういう命綱みたいなものは幾つか持っておくに越したことないので。
しんどいときにはお試しあれ。ってか中高生がこんなブログ読んでるとも思えんが、一応。


このお話の最後のページ、p.166。


厚い雲の海を通りぬけるように

不安と
疑いと
戸惑いと
恐れと

無知や盲信に
別れを告げて

私たちは間もなく
暗黒時代を終えるのだ




 


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コメント 2

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おおにし

こんにちはーどこの大西かわかりますか?

グリーンウッド懐かしいなあ。顔だけ傷がつかない人が出てました。

ダークエイジ知らないなあ。子供の頃やもっと若い時に読んでおけば
面白く読めたんだろうなあって本はたまにありますけどそんな感じ??

苦しいとか辛いとかが永遠に続く様な気がしちゃうんだなあ、若いと。
by おおにし (2010-10-02 12:37) 

シロタ


わーおおにしさんいらっさいましー。
その後、手抜きフィデウアうまくいきましたか? 干し椎茸+ニンニク(ほんの少し)+醤油+バターが最近のヒットです。

>顔だけ傷がつかない人
ぷ。居ましたね、そーいう人。いくら漫画だからってあんまりちゃあんまりだ(笑)。
わたしは、ゼエゼエ弱ってたくせにスポットライト浴びるとイエー!って元気になるアイドルにげらげらウケてました。

ダークエイジ、うーんどうだろう。
グリーンウッドおもしろがれるんならイケるかもしんないです。
重くしんどい人物ひとり以外はわりとグリーンウッド的なモラトリアムぽい雰囲気もないでもないし。
あ、でもグリーンウッドのエラいとこは、永遠の学園モラトリアムじゃなくって、ちゃんと卒業するとこなのかも、と、たった今思ってみた。

もしよかったらお貸ししますよ。「それからどしたの?仔猫ちゃん」「天使とダイヤモンド」も併せて那州セットで如何w


by シロタ (2010-10-04 16:41) 

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